便潜血検査(血便)と大腸がん
便潜血検査は健康診断でも行われることが多い検査ですが、これは大腸がんの発見を目的としています。ただし、便潜血検査で陽性でも大腸がんではないことが多く、さらに陰性でも進行した大腸がんを見逃しているケースもよくあります。あくまでも大腸がんの可能性をみるためのもので、何万人も受けた場合は大腸がん発見に役立つと言えますが、個人の大腸がんを確定診断できるものではありません。
便潜血陽性の内訳
便潜血検査では、1000人中の約50人が陽性になり、その後の精密検査で50人のうち1~2人が大腸がんであると報告されています。ただし、早期大腸がんの約半分、進行大腸がんの約1割が便潜血検査陰性となって見逃されてしまうと言われています。また、大腸ポリープに関しては陽性が出ることはほとんどありません。
便潜血検査で発見された大腸がんでも、腹痛・出血・便通の変化・腹部膨満感などの自覚症状がない段階で的確な治療を受けることができれば完治が望めますので、陽性が出た場合にはできるだけ早く大腸カメラ検査を受けてください。
大腸がんとは
日本で大腸がんは増加傾向にあり、がんによる死亡で、女性で大腸がんは第1位、男性で第3位になっています。
大腸がんは早期発見できれば内視鏡による切除で治療が可能です。将来大腸がんになる可能性がある大腸ポリープを切除することで予防もできます。ただし自覚症状なく進行していき、便潜血検査では早期の大腸がんや大腸ポリープの発見はできません。早期大腸がんやポリープの発見には、大腸カメラ検査が不可欠です。
大腸カメラ検査による定期的な検査が普及することで、進行した大腸がんの治療でつらい思いをされたり、亡くなってしまうケースは大幅に減ると考えられています。
便潜血検査で陽性となったら、検査を受けましょう
便潜血検査では、肉眼ではわからないほどの血液が便に混じっていないかを確かめることができます。便潜血検査で陽性が出た場合、食道、胃、腸、肛門という消化管のどこかで出血を起こしている可能性があります。便に血が混じる病気は痔をはじめとしてたくさんありますので、便潜血検査で陽性になった場合、2次検査として大腸カメラ検査を受けることをお勧めします。
バリウム検査の場合
2次検査でレントゲンによるバリウム検査を受けることもできますが、サイズや位置によって発見できない場合もあります。組織採取も行えないため確定診断ができません。そのため、別途、大腸カメラ検査が必要になってしまい、レントゲン検査で余計な被ばくを受けてしまうことになります。
早期の大腸がんやポリープを発見できる唯一の検査が大腸カメラ検査
大腸カメラ検査では、大腸の粘膜を直接、すみずみまで観察することができます。また、当院ではよく主な光を使って微細な病変を発見できる最新の内視鏡システムを導入しているため、短時間で精密な検査を行うことが可能です。また、大腸カメラ検査時に、組織の採取を行えるので、生検による確定診断が可能です。さらに、早期の大腸がんやポリープを検査中に切除することも可能であり、治療も同時に行うことができます。
楽に受けられる大腸カメラ検査
大腸カメラ検査は、システムや医師の技術と経験などにより、精度の高さだけでなく不快感の有無も大きく左右されます。当院では、日本消化器内視鏡学会専門医が、大学病院レベルの高性能な最新機器を使って大腸カメラ検査を行っています。苦痛の少ない、精度の高い検査を短時間で行うことを心がけています。大腸カメラ検査にご不安がある方にも、丁寧にご説明していますのでご相談ください。
便潜血検査陰性の方へ
便潜血検査では発見できない大腸がんはかなり多く存在し、特に早期の大腸がんや将来がん化する可能性のある大腸ポリープの発見はほとんどできません。便潜血検査は陰性でも、大腸がんではないとは言い切れない検査なのです。大腸がんは進行してしまうと怖い病気ですが、早期発見して切除してしまえばそのまま完治が望めます。陰性の結果が出た場合も、大腸がんリスクが上昇しはじめる40歳を越えたら大腸カメラ検査を受けるようおすすめします。