胃ろう

胃ろうとは

食べることは生きていくために必要なエネルギーを得て、体の機能を保っていくために不可欠な行為です。「胃ろう」は、食事だけでは栄養の確保が困難になった際に行う医療措置で、胃へチューブで直接栄養を送り込むための穴のことを意味しています。胃ろうを作ることは、栄養補給のためのルートが新たに作るだけでなく、誤嚥による肺炎などのリスク低減や、ご本人と介護する方双方のご負担を軽減できます。

胃ろうのメリット

メリット

鼻からチューブで栄養補給を行うよりも痛みやお身体への負担が少なく、介護する方の食事介助にかかる時間や手間も抑えてくれます。
喉にチューブなどがあるわけではありませんから、口から食事をすることも可能です。
高齢者の肺炎は命にかかわるケースが多く、肺炎を起こしやすい嚥下障害がある場合、胃ろうにより誤嚥性肺炎のリスクを軽減できるとされています。
胃ろうは洋服を着ている際には外からわかることはありません。そのため外出も抵抗なく行うことができ、心理的な負担も少なくなります。

デメリット

免疫力が低下すると胃ろう周辺の皮膚がただれることがあります。また、稀にですが注入した栄養剤の逆流を起こすケースもあります。
胃ろうがあっても状態によっては在宅介護が可能な場合もありますが、施設への入居は対応できるスタッフがいないケースが多く、困難な場合がほとんどです。特に認知症がある場合には、カテーテルを抜いてしまうことがないように、注意する必要があります。カテーテルを抜いてしまうと穴が一晩で塞がってしまうこともあり、再手術が必要になることもあります。
胃ろう専用の栄養剤が必要ですし、定期的なカテーテルの交換が必要になるため、一定の費用がかかります。
また、終末医療という観点から、回復が見込めない場合には人間の尊厳を保つために胃ろうをあえて行わないという考えを持っている方もおられます。

胃ろうの手術

胃ろうを作るための手術はPEG(Percutaneous Endoscopic Gastrostomy:経皮内視鏡的胃瘻造設術)というもので、内視鏡を使って行います。手術自体は一般的に30分程度ですが、5日~7日前後の入院が必要となります。

胃ろうを通じた栄養補給は、それぞれに応じた必要カロリーの栄養剤を注入することができますが、口から食事をとれる方は不足分の栄養を胃ろうからとることが可能です。胃ろうを作ってからも、可能であればリハビリのために口からの食事も行っていくことが望ましいとされています。

胃ろうに使うカテーテル

胃ろう用のカテーテルは、体外部に使用する固定板と胃内部に使用する固定板の2種類に大きく分けられます。実際には、この2種類を組み合わせて用います。

体外部

体外部には「ボタン型」と「チューブ型」という2種類の固定板があります。

ボタン型

体外にチューブが出ていないタイプで、動作の邪魔になりにくく、目立たないことが大きな特徴になっています。栄養剤が通るチューブが短いので内側が汚れにくく、掃除の手間が軽減されます。ただし、毎回、ボタンを開けてチューブをつなぐ必要があり、片手で開閉しにくいというデメリットがあります。

チューブ型

チューブとの接続が簡単で、栄養剤を入れやすいタイプです。ただし、チューブが体外に出ているので、邪魔になることがあり、チューブの内側が汚れやすいというデメリットがあります。

胃内部

胃内部には「バンパー型」と「バルーン型」という2種類の固定板があります。

バンパー型

胃の内壁にしっかりと固定されるタイプです。抜けにくく、交換までが約半年と比較的長くもちます。ただし、カテーテルの交換時に痛みや圧迫感を感じやすい傾向があります。

バルーン型

挿入後にバルーン内に蒸留水を入れて膨らませることで固定するタイプです。カテーテルを交換する際には、バルーン内の蒸留水を抜いて小さくして抜くことができるため、痛みを生じにくくなっています。ただしバルーンは1~2カ月に1度の頻度で交換する必要があります。

体外部と胃内部の組み合わせ

胃ろうカテーテルは、「ボタン・バルーン型」や「チューブ・バンパー型」など、体外部と胃内部の固定版を組み合わせて使用します。胃内壁厚の個人差によって最適な組み合わせを選ぶことで、より快適にカテーテルを使うことができます。

胃ろうの管理について

胃ろうの管理では、周囲の皮膚の観察も重要です。栄養剤や胃液の漏れなどがあれば、胃ろう周囲の皮膚が炎症や潰瘍を起こす可能性があります。赤みや腫れがないかをしっかり確認してください。
また、バルーン型の場合、胃ろうとチューブはバルーンを水で膨らませることで固定されているため、チューブに付属したバルーンの水の量の確認も不可欠です。この水が少なくなり過ぎないよう、1~2週間に1度、水の量を確認して足りない場合には追加します。製品によって必要な水の量が異なりますので、医師や看護師の指示に従って適切な量を保つようにしてください。

なお、胃ろうのチューブ交換は、タイプによって1ヶ月〜半年に1度が目安となっています。管理記録をしっかりとつけ、経過や皮膚の状態なども考慮しながら交換時期の計画を立てておきましょう。

万が一チューブが抜けてしまった場合には、胃ろうの穴が塞がってきてしまうため、すぐに病院までご連絡ください。

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